EDCとは「Everyday Carry(エブリデイ・キャリー)」の略で、常に持ち歩きたいツールを指します。移動式のワークショップをお持ちであれば、多種多様なツールを常備する必要があるかもしれません。しかし、多くの方々にとってはそこまで大掛かりなツールは不要であり、車両で持ち運ぶことも現実的ではありません。だからこそ、日常的に携帯できる信頼性の高いツールセットが必要とされます。
どのようなツールがEDCツールと呼ばれるのか?
ツールにはさまざまな形状・サイズがありますが、EDCツールの本質は「毎日持ち歩けること」にあります。つまり、日常的に必要になる可能性が高く、かつ携帯性に優れたツールがEDCツールと呼ばれます。
EDCツールはその定義からして、携帯性と利便性を備えている必要があります。したがって、理想的なEDCツールには次のような特徴が求められます:
軽量であること、強度があること、そして特定の用途に最適化されていることです。
優れたEDCツールに求められる特性とは?
EDCツールにとって最も重要な特性は、他のあらゆるツールと同様に、本来の目的を確実に果たせることです。加えて、EDCツールには携帯性が不可欠です。つまり、EDCツールの設計には、機能性を損なうことなく、軽量かつコンパクトであることが求められます。
- 機能的(Functional)
- 用途に適している(Fit For Purpose)
- 軽量(Lightweight)
- 携帯しやすい(Portable)
- パーソナルな使い勝手(Personal)
- 耐久性がある(Durable)
EDCツールはパーソナルな選択です。たとえば、マイクロサイズのマイナス/プラスドライバービットが必須という方もいれば、自転車愛好家にとっては六角ビットのセットの方が重要かもしれません。このように、EDCツールは使う人の用途によって大きく異なります──その詳細については別の記事で改めてご紹介します!
まずは、「毎日持ち歩きたいツールとは何か?」という基本的な定義から見ていきましょう。
EDCツールの歴史は、実は非常に古いのです!
私たちの祖先は、狩猟、食材の加工、衣服や道具の製作といったさまざまな作業のために、火打石、黒曜石、骨などを使ってEDCツールを作っていました。人類の道具の進化には、非常に長く、詳細な歴史があります。100万年以上も前から、上の画像にあるような石製のハンドアックスなどのツールが、日常的に持ち歩き、使用することを目的として作られてきたのです。
現代のEDCツールは、火打石のナイフや削り器よりもはるかに軽量で多機能です。しかも、石を叩いて自作する必要がないという大きな利点もあります。およそ1万年前に金属鍛造の技術が発見されるまでは、石・骨・木で作られたツールが唯一の選択肢でした。
しかし幸いなことに、現代では高品質なステンレススチールやアルミニウムを使用することで、私たちの代表的なロリポップビットドライバーのようなツールを、かつてないほど軽く、そして強く製造できるようになっています。
なぜ人はツールを必要とするのか?
ツールとは、人間の身体的能力を拡張するための道具です。私たちは高度な思考力を活かして、他の動物たちが身体的特徴で実現している機能を、道具という形で再現することができます。たとえば、翼を持たなくても飛行機を作れば空を飛べますし、速く走れなくても自転車や自動車を使えば問題ありません。
人類は長い年月をかけて、ツールを使って自らの能力を拡張することに慣れてきました。現代ではツールは、私たちの生活を支え、快適かつ効率的にしてくれる存在となっています。
そして、ドライバー、プライヤー、レンチといった基本的なツールは、より複雑な機械や装置の基盤となる存在でもあります。それらの機械は、私たちの生活や遊びを支える「ツール」──家電製品、交通手段、電子機器、コンピューター、おもちゃやゲームへと進化しているのです。
EDCツールはパーソナルな選択です
EDCツールは、備えに対する意識や、自ら問題を解決しようとする姿勢を反映するものです。ツールを携帯することで、日常で直面するさまざまなトラブルにも即座に対応できるという安心感と自信が生まれます。ヒューズの交換やボルトの締め直しといった些細な問題でも、適切なツールが手元にないだけで生活が止まってしまうこともあるのです。
どんなツールが必要かは、自分の生活の中でどれだけ機械や道具と関わり、手を動かすかによって異なります。誰かにすべて任せる人もいれば、EDC愛好者は「自分でやる」タイプです。だからこそ私たちは711LのEDCツールを作っています。それは、自分で考え、自分の手で問題を解決する人のためのツールです。